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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第29章 【空色】心温




一体何が起こったのか

確認をとった教師は4人

イレイザー・ヘッド
プレゼント・マイク
ミッドナイト
そしてリカバリーガール

だが誰も把握してはいない
自分を含めて誰一人相談を受けていない

少女が大きな決断をする時
相談相手になる為に自分たちが居る

その為にこの子を我らの手で育てて来た

その誰もが知らないとなると
次に浮かぶのはあの少年だ

今把握すべき事

それはここまでの行動力の源は何か

把握していなければ
心変わりを予想する事も
それを防ぐことも難しくなるからだ。


「ハイリ? 話してごらんよ。
何が君をそんなに不安にしてるんだい?」


小さく傾げる首とつぶらな瞳
校長である時より速度の遅い会話のテンポと
少しだけ柔和な言い回し

まるで命を持ったヌイグルミの様な振る舞いは作り物

こんな見た目でも
自分はヒーロー育成校、雄英高校の校長だ

話術は人間の大人
いや、それ以上に






校長 根津 
“個性” ハイスペック

「人間以上の頭脳」という“個性”が発現した動物。
世界的にも例を見ない唯一無二の存在。






本来なら
言葉だけで追い詰め、吐かせる
それをも可能な頭脳の持ち主。

だが、それは得策じゃない。


この少女にとって自分は校長じゃない

ハイリにとって自分は


「約束だろ? 隠し事しないって。
お願いさ、一人で悩まないでおくれ。」


教師陣の中で唯一対等な存在。


ネズミなのか犬なのか熊なのかわからない
白い毛並みに小さな体

この風貌だからこそ
その位置についた

子供がヌイグルミに向かって
親にも言えない内緒事を吐き出せるように

どんな些細な変化も見逃さない為に


「ハイリが悲しいと
僕も悲しいのさ。」


我が校に進学した今
頭ではもう校長だとはっきり認識しているだろう。

だが
幼い頃からに仕立て上げた関係は
容易に覆りはしない

悲しそうに見上げられた黒眼に
ハイリは目を泳がせ

そして
小さく息をついた


「ぅん、皆には内緒だよ?」


幼さを残したその話し方に
根津はホッと息をつく



「もちろんさ!」



まだ、自分はヌイグルミでいるのだと。

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