• テキストサイズ

【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第29章 【空色】心温


~Sideハイリ~


焦凍が家に帰った土曜日の夜
約束通り掛かってきた電話の内容は
ちょっと所じゃなく不可解なものだった。


『お前、親父を診察した事あんのか?』


何故こんな事を尋ねられたのかわからない
問い返しても、予想どうりと言うべきか
答えられないの一点張り

その場で即答できなかった私は
交換条件として
質問の報告タイムと称して
焦凍のお昼休みを独占している。


これぞ
ギブ&テイク


転んだって
ただで起きてあげるつもりなんか
毛頭ない。


(今回の帰省
私が関わってる事は間違いないみたいだしね。)


もう1つの動力源ってのはコレだ。

やっぱり私の所為なのだろう
「所為」と言うより「為」なのだろう

きっと喜ぶところだ
だけどね
残念ながら私は大人しく守られている様な
人間じゃないんだよ。

この質問のお陰で
私は寂しいだなんて落ち込んでいられなくなった。

過保護な彼の事
何も言わないのは私の気を揉ませないように
と言ったトコだろう

ならばウジウジなんてしてられない
ヒーロー科を選ぶと決めたのならば
遅れは少しでも取り戻した方が良い

私を落ち込ませるのも
立ち直らせちゃうのも
焦凍、君だ。

やっぱ可愛気ないなって自分でも思う
思うけど
長所だとも思ってる。


「ハイリ、返事はどうした?」


急かす声

どんなに鋭い目つきで刺されようが
今の私はおきあがりこぼしだ

気圧されようと
倒されようと
すぐ起き上がる。


「そー…いえば、エンデヴァーさんの件だけどさ
リカバリーガールに聞いたんだけど、おそらく無い…だって。」

「話を逸らすな。」

「元々こっちが本題でしょ?」


傷む耳の為
逸らそうとした話題は
一言で軌道修正された。

中々誘導されてくれないクレバーな焦凍くん

だけど私は知っている
彼にとってこの話題は最重要事項って事

なんたって頑なに口を閉ざす秘密のヒントを出してまで
私に尋ねてくる位だもんね。


「話、しなくていいの?」


表情に出ずとも
ん、と飲み込まれた二の句はきっと
否定形の接続詞

目を逸らした焦凍に対して
強張っていた自分の頬が
ゆっくりと上がっていくのがわかる。

答えを待つこと数十秒
前髪をかき上げた焦凍は
想定通り
溜め息と共に話を切り替えた。


/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp