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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第29章 【空色】心温


~Sideハイリ~


【気をつけて帰れよ】

            【わかってる】




握りしめたスマホ
画面のLINEは勿論、焦凍だ。


『お前を一人で歩かせられるか。』

『やだ、お見送りする!』


玄関で口論した30分前
軍配は私の方に上がった。


「一人で歩かせたくないなら
帰らなきゃいいのにっ」


居なくなった途端浮かび上がる本音が
見上げた空に吸いこまれていく

淡い水色と白のまだら模様

昨日の名残もあって
晴れとは言い難い

風は強く
言葉ごと吹き荒っていく

攫われた髪を耳にかけ直し
ロータリー中央の大時計を見やると
時間は少しオーバーして12時半

今日と言う日はまだ半分近く残っているけれど
私の中では
もう終わっちゃった
そんな気分だった

なのに、まだ中程だよと
主張するがごとく音が鳴る


──Jingle


駅前、雑多のど真ん中
これだけ賑やかな音の中でも
ちゃんと耳に届くそれは
小さな受信音。

閉じたばかりの液晶画面を開くと
下がりきっていた心の温度はすぐ上がる。


【これ青山だよな?】


焦凍の初めてのスタンプは
既存のLINEキャラスタンプ
ジェームスだった。

BYE~と手を振っているイラストと
クラスで1.2を誇る個性的な級友の顔

二つが綺麗に重なってしまっては
笑わずにはいられない


(ホントだ…青山くんだ。)


強いて言うなら
彼なら「BYE」じゃなく「Salut」を使いそうだけど…

そんな細かい事はどうでも良い
おかしすぎて声にならない
スマホを覗きこんでこれだけの爆笑
傍から見たら相当不審なはずだ。

だけど
周りを気にする余裕はちょっとなかった。


              【似てるっ!!】

【だよな】


かなり気に入ったんだろう
それから暫くは
スタンプの嵐だった。


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