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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第28章 【空色】プラシーボ効果


~Side轟~


「悪い。」


もう何度目か
言い過ぎてその価値も無くなったんじゃねぇか
それくらい繰り返した頃

ずっと胸に埋まっていた顔が
ぴょこりと上がる。

真ん丸な垂れ目
目尻を緩やかに下げ
口元に宿すは麗らかな春の日差し


(悪い…。)


心の中でもう一度頭を下げた。


「大丈夫、私もこの二週間
考えなきゃって思ってる事があって
丁度良かった。」


満面の笑みは作り物
寂しいと思ってくれてんだろう
思いを押し殺して笑ってくれてんだろう
俺の詫びが心苦しくて
話を変えようとしてんだろう。

気付いたが気付かねぇフリ。

今夜はこの微笑みの仮面に
乗っかるしかなかった。

不自然に差し替えられた話題も話題で
こっちの事情と負けず劣らずデカいモン。

相変わらず、気遣いが上手い。


「ヒーロー科か普通科か
体育祭までに決めようと思う。」


なんて事無い様に紡がれた結論は
ハイリの中じゃ最重要課題だ

なのにハイリはケロリと笑って
続きを話す。


「どうも私の所為で
普通科のヘイトがA組に向いちゃってんだよね。」


昼休みの出来事
そこから導き出された結論
どちらを選ぶかまだ決まってないにせよ
選ぶと決めたからには
ズルズルとはいきたくない

期限は二週間
体育祭まで

潔いと言えば聞こえはいいが
何年ものらりくらりと躱し続けてきたハイリにしちゃ
だいぶ急いた期限だ。
体育祭でこの柵を断ち切ろうとしてんだろう。


(そんなに簡単に切れるとも思えねぇが…)


そもそもハイリは誘因であって原因じゃねぇ
そして原因があり続ける限り
誘因が無くなろうが
恨み辛みってのはそう簡単に消えねぇんだ。

言ってやったところで
どうせ聞きゃしねぇんだろうがな…。

どうにもコイツは頑固すぎる。

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