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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第28章 【空色】プラシーボ効果


~Side轟~


しきりに振り返ろうとする
その度ハイリの首にすり寄ってそれを制した。

いつも頬をくすぐる亜麻色の髪は
濡れてボリュームを落とし
俺の髪をも濡らすだけ

同じ色の瞳に見透かされる
それだけは阻止したかった。

嘘を見抜くってんなら
ハイリよりハイリの親父さんなんだろうが
両親の複合的個性を継いだだけあって
隠し事をするのはかなり厄介な相手だ。

ンな事を考えていた所為か
視線はずっと
揺れる乳白色の水面を揺蕩っていた。






























『これ、なんだけど…。』


夕方、自宅の居間で差し出された写真
それだけの為に今日は家に帰った。

姉さんから手渡されたソレに
写っている女は
少しピントがずれているが
ハイリだって事は間違いねぇ。

入学してまだ日も浅いってのに
雄英の制服を着ている時点で確定だ。

クソ親父が…

心の中で舌を打ち毒を吐く。


『連絡、ありがとな。』


そう言って立ち上がると
写真を持った方の手を掴まれ
思い留まれと言わんばかりの表情が念を押した。

それだけ
俺の表情は険しかったんだろう。


『待って、事を荒立てないって約束よね?』

『………わかってる。』


それが写真を譲り受ける条件だった

ここ数日、一人悩んでいた姉さんは
最終的に家族外にまで被害が及んではと
今日、連絡をくれたという。

但し


『ハイリちゃんには…』

『言ってねぇ
そういう約束だろ?』


ハイリには内緒で…と一言添えて。


姉さんに言われずともそうしていただろう。

ハイリにこんな事が知れたら
また何を言い出すか……

なにより
クソ親父のエゴにハイリが振り回される…
想像しただけで腸が煮えくり返る

昼間芽吹いた感情が
早くも丈を伸ばし、葉を増やし
根元を影で覆っていく

“個性”を晒す事なんざ
まだ優しいと思った。

親父がハイリを振り回す事に
これ程怒りと恐怖を覚えるとは…

俺も大概
イッちまってる。

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