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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第4章 【桜色】毒占欲 陽性


~Side轟~


自覚は
思っていたより早く来た。


緑谷自身ではなくその“個性”の事を考えている。
わかっていても面白くなかった。

好きなはずの女に対して、あまりにそぐわない毒々しい感情。
悟られないようにと勢いで帰ったものの
鉛でも飲んだかの様な症状は悪化するのみで

ハイリの側に居た方がまだ楽だった

そう思って家を出た。


なのに


『この辺さ、案外物騒なんだよね。
だから女の子の一人暮らしって危ないしさ
ね?』


エレベーターを降りて目にした光景。

明らかに年上だろう男は
ハイリの肩に手を掛け、退路を塞ぎ
頭の中まで軽いのかと思わざるを得ない言葉を吐きやがる。

瞬時に思った。


(きたねェ手で触んじゃねェ…)


早くコイツの視界からハイリを消してしまいたい。

緑谷の時よりもはっきりと
激しい程の、どす黒い感情。

でかかった分わかりやすかった。


『独占欲』


抱いていた感情の名。













「アイツとどっか出かけてたのか?」


初めて見たハイリの私服は、ちょっと出かけると言った装いには到底見えねぇ。
自分の腕の中にこいつを収めても気にせずにいられないのは、あまりに薄手な桜色のワンピースと無防備に晒された項のせいだろう。


「違うよ。出かけようとしたらばったり…っていうか、お隣さんらしくて。」


尋ねた割に返された言葉は頭に殆ど入って来ず
『違う』とだけ理解する。

安心と共に込み上げる焦り
俺がもたついてる間に誰かに掻っ攫われていきそうで
今はとにかく


(俺だけのものにしたい。)


それだけだった。





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