第27章 【空色】自性感情症
~Sideハイリ~
中を掻きまぜられて
喘ぐ声をひゅっと飲んだ
拍子に、
喉を反らす
荒い、熱い焦凍の息が耳を掠めてく
火照る私の耳より熱い
一体どっちの方が溶けちゃてるんだろう?
耳に声を吹き込まれながら
考えた。
「ハァッ…今日は強情だな。
昼も、今も。」
「だ…って…。」
「いいから…堕ちろ。」
どんな目をしてるんだろう
どんな色をしてるんだろう
私より、赤いんだろうか…なんて
欲をむき出しにした彼の声に
どんどん欲が膨らんでいく
だけど抑え付けようとしている感情もあって
見たいような見たくないような
ううん、見たいんだ
ただ見てしまったら本当に堕ちてしまいそうで
壁と焦凍に挟まれたまま背を震わせて天井を見上げる。
「ぁあ…しょ、と…め…だめ…っ」
言われた通り
もう、このまま堕ちた方が良いんじゃないかな。
だって
だめなんて全然言えてない
声だってオス猫を誘うメス猫みたい
それに…
自分の中が泡立つ音だけが
内側から聞こえてるみたいにぐちゅぐちゅ響いてる。
身体の方が正直だ。
クリーム色の天井が真白に見えるのは
気持ちよすぎて浅くなった息のせいで
酸欠になりつつある証拠
「素直に、なって良い…
身体はもうとっくに素直だ。。」
囁く誘惑は直接頭を麻痺させる媚薬
長い指が顎を捕らえ、クイと首を回されて
てっきりキスされると思ったのに
落とされたのは
頬だった。
「……ぅ…」
そこじゃない
ちがうの
思いが、顔に出てしまった
私を撫でるように見つめる
愉悦に染まった焦凍の目がもどかしい
がっかりしてるしてる心の中を
この二色のオッドアイに見透かされてしまったみたい。
抗ってたはずなのに…
色違いの双眸は欲と嗜虐心に塗れてる
意地悪な目をしているのに
なんでこんなにも愛おしく思えちゃうんだろう。
焦凍の前髪から滴る水を拭って
(ああ、そうか。)
思い出した。
見てしまったからだ。
見ないように
してたのに……。
堕とされた
やっぱり敵わない
でも
こんなにフワフワと堕ちるならそれもいいかなって
絡み合う視線を解くことはしなかった。
ううん、出来なかった。