第27章 【空色】自性感情症
~Sideハイリ~
なんで
なんで
脳内を巡る副詞はそればかり
一体いきなりどうしてしまったんだろうか
浴室だからと言う訳ではないけれど
泳がせすぎて目が回る
どれだけ泳がせたって
留まるのはクリーム色の壁を霞める霧状の雨だけなのに
どうしてこんなに忙しなく動いているのか
弾く心臓が飛び出てこないのは
左胸を鷲掴む手が握りしめているからだ
目を回しても立っていられるのは
綺麗な見た目に反して逞しい腕が巻きついてるから。
「は…っぁ…」
意に反して
浴室の空気にも負けぬ熱い息が漏れる
ちがう、
そうじゃない
私が知りたいのは
どうして焦凍が入ってきたのかと言う事だけだ。
何流されそうになってるの私
「ど…した?」
「話しにきた。」
言葉は難なく返された。
話をする気で来たと言ってはいるけれど
そんな雰囲気じゃない。
どう考えたって真面目に話せる雰囲気じゃない
何を話そうかすら忘れてしまった私に
話せる訳がないじゃない
もう
なんでこんな状況になってるのかわからない。
とにかく恥ずかしい。
やっと動いた手が隠したのは
自分の顔だった。
「あとで、話すつもりだった…のに…っ」
「それじゃ遅くなるだろ?」
情けなくなる程掠れた声
正論どころか
自分もそう考えていたから
反論する事ができない
話をする為に来たのなら
この手をなんとかしてもらわないと…
そんなこと考える間にも
求める手は欲へと下がっていく
「ぁ…ぁっ…っ」
待っての一言が出てこない
こんなんじゃ話す事なんか出来ないよ。
左手に主張し始めた突起をつままれ
右手が秘裂をなぞる
背に掛かる体重が増して前かがみなった自分を支えようと
両手は視界を開き壁についた。
いつになく急いた行為に気持ちはついて行かず
混乱するばかり
なのに身体だけは従順に
反応していく
どろり
溶けだしたのは中だけじゃない。
もう既に
触れた部分からドロドロに溶けてしまいそう