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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第27章 【空色】自性感情症


~Sideハイリ~


何から話そうか…

あまりにいつも通りだと
このまま無かった事になってしまいそうだ。

遅くなった事への言い訳よりも
私の頭を拭いてくれることへのお礼よりも

昼休みの事を謝るべきだと思った。


「お昼、ごめんなさい。」


思えば
私は謝ってばかりな気がする
焦凍には特に。

甘えと言ってしまえばそれまでだ

だけど私は甘えるがあまり
この人をないがしろにし過ぎてはいないだろうか

そんな考えがふと過ぎる。


「ごめんなさい。」


二つ目のお詫びに返って来たのは
大きなため息一つ
頭を覆っていた布がスルリと取れて
開けた視界はまだ暗かった。

薄明りに浮かぶ焦凍の瞳に表情に
怒りなんて見当たらない

言葉もきっと
気遣って言ってるものじゃない


「気にしてねぇ。」


だけど
小さく笑うその表情は
何か感情を押し殺している
そんな風に見えた。

頭を撫でる手はいつもより控えめだ

髪を滑り落ちて来た手の甲で頬を撫でられて
その温度差にピクリと背が跳ねる

自分で思っていたより
身体は冷えているみたいだと
与えられた温もりに頬を押し当てながら思う。

絡む視線はすぐさまバスルームへと向けられた。


「とりあえず風呂行ってこい。」


言い終わるより早く
踵を返す

ガチャリとなった後に
お湯がバスタブを叩く音が小さく反響してくる

差し出された選択肢は一つ

話すでもない
怒るでもない


(お風呂…間違ってないけどさ。)


出たのは溜息だけだ。

この件についてあまり話したくはない

そう言われたように思えて
二の句を告ぐことが出来なかっただけ。



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