第27章 【空色】自性感情症
~Sideハイリ~
抱えていた悩みの重量は
マックを出る時には半分になっていた。
二つの内一つが無くなった訳じゃなくて
それぞれの重さが半減されたって事。
減らしてくれたのは
間違いなく爆豪くんだ。
「たまには寄り道も良いな…。」
気分は晴れやかとまではいわないけれど
学校を出る時よりは
落ち着いていた。
そう、今日の空とは対照的に
(降ってきそうだな…。)
見上げる空は黒に近い
雨水を含んで重たく下がってきた雲は
天井を下げ今にも落ちてきそうだ。
学校を出る時は薄墨程度の淡色だったのに
なんてことだ。
時間も相まって
暗さを増した通学路では
車のライトが薄く光っていた。
傘も無いし
雨が降りだす前にと自宅への道を急ぐ
いつものコンビニ前を通り過ぎてすぐに
ポツリ、雫が頬を打って
空を見上げると
もう耐えられんばかりに覆い被さる厚い、重い雲
(ああ、さっきのコンビニで傘買えばよかった。)
そう思ったのが10分前
今、私は別の事を後悔している。
「どこに行ってたんだ?」
それはまるで門限を破った娘を怒る親の様。
玄関開けたら腕組みをして出迎えてくれた焦凍パパ。
座りきった目が遥か高くから見下ろしてくる。
小さくなった私は
何故寄り道してしまったのだろうと
早くも後悔した。
「せめて傘を買え。」
「まさか最後の最後に
こんなに降られるなんて思ってなくて…。」
まず、家に居た事に驚いて
次に、あまりにいつも通りなことに驚いた。
わしわしと
雨に濡れた頭を拭かれながら
タオルの中で頭を傾げる。
(怒って…ない?)
正確には怒ってる
だけどそれはいつもの呆れたようなアレで
昼休みのようなやつじゃない。
それはそれで…
(…………なんで?)
不安を煽られてならない。
タオルの隙間から盗み見た焦凍の表情は
電気を付けて無いこともあってか
上手く読み取れなかった。