第26章 【空色】躁と鬱
~Sideハイリ~
「――ってなわけで
私が両クラス行き来してるせいで
ヒーロー科のイメージがですね…」
「ああ……」
なんとか心操くんの“個性”を出さずに説明する事もう10分。
爆豪くん視線を捕まえることは1度も出来てない。
視線は殆ど窓の外
時々思い出したかのようにこちらに向けられるけど
何度見ても捉えどころが無いものだ。
椅子に片足を立てて
だるそうにポテトをつまむ。
どんな見方をしても上の空にしか見えない。
興味ないとでも言いたげに放置されたままのフルーリーが、自分と重なって見えた。
これだけ見れば
全く聞いてないように思えるでしょう?
でもね
「だから普通科も悪くないっていうか…」
「ああ…」
相槌のタイミングは間違ってないんだよね
多分聞いてるんだと思う。
(ま…ヒーロー科にとって面白い話ではない、しね。)
来る途中も怒鳴られてばかりだったし
今だってこんな態度だけど
本気で嫌なら付き合ってくれる筈がない。
爆豪くんはそういう人だ。
昼休みの一件も知ってるし
ううん、それどころか当事者の一人だし
庇った私を気にかけてくれているんだろう。
こういうとこ見ると
やっぱりヒーローを志す人って違うと思う。
凄いなって思う。
そして
そんな事思う度に心の中で呟いてきたんだ
―――中途半端な私はドウスルの?