• テキストサイズ

【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第26章 【空色】躁と鬱


~Sideハイリ~


普通科の授業と言うのは
ヒーロー科と比べれば必修科目のコマ数が多い。

他には選択科目。

進学に向けて
公務員試験に向けて
普通科は普通科で将来に向けての知識を蓄えるのだ。

つまり悩む時間が長ければ長い程


(どちらのクラスでも後れを取る……。)


正面のボードに大きく書かれているのは小論文
テーマは課題のとらえ方

普通の進学校なら3年でやる内容だ。

高1のこの時期からこんなペースじゃ
差は開く一方だ。

わかっているのに
授業は身に入らない。



『“卑怯なコウモリ”って知ってるか?』



あの言葉が頭の内側をぐるぐると回って
心拍数が上がっていく
焦凍と居る時とは違うドキドキだ。

焦りから来る不安

あの例えは絶妙だと思う。
的を得ているだけに気持ちは逸る。


(早く決めなきゃ…。)


握るペンの先はノートに文字なんか
写し取ってない。

風に翻弄される風見鶏のようにくるくると回り
止まった向きは逆さまに
音もたてずノートではなくスマホの画面に頭を付ける。

同じタイミングでそこに光が灯った。

着信ではないバイブレーションは
一拍で止み
小さな窓に文字が並ぶ。


(…――――っ)


タッチペンになったペンの頭で
その文字をなぞり
今一度確認するように
画面を開く。













【今日は実家に帰る】













相変わらず素っ気ない内容だ。

焦凍のLINEはいつもそうだから
怒っているのか怒っていないのか
よくわからない。

不安になったのは
自分に後ろめたさがあったから。

結局私は焦凍の心配を無視して
自分の我儘を押し通したのだから…。


(怒ってる…んだろうなぁ…。)


どれだけ帰れと言っても帰るのを拒絶していた人だ。


無理矢理帰らせて
結局私も泊まる羽目になったのは
ついこの前の日曜日

そんな焦凍が
LINE1件だけ残して帰るという。


はぁ…


ついた溜息は
チャイムの音に紛れて消えた。


/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp