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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第26章 【空色】躁と鬱




午後の授業は災害救助訓練らしい。

いつもと違ってノロノロと着替える切島は
遅れて入ってきた二人の級友に
ハイリの選択は正しかったと喉を鳴らした。
















それは
食堂の出口を抜けた時のモノだった。


対面した男が去ってすぐ
よろけたハイリは自分たちが手を出す前に
宙で動きを止めた。

床上10cm

ふわりと浮いた身体を支えるように
ハイリの向こう側から
見慣れた赤ら頬が顔を出す。


(麗日!
と、飯田…。)


明るい茶色のボブヘアーを揺らし
いつもキョロキョロと動く真ん丸な目は半分ほどに

どこまで状況を把握しているかはわからないが
今日は自クラスに居ない級友の身体を
心配している事が伺い知れた。


『きついんやろ?
保健室行こう、な?』


言葉は疑問形でもそれは半ば命令形。

頭を振ることも頷くこともしないハイリの手を取り、腰に腕を回して有無を言わさず自身に繋ぎ止める。

抱えられる物なら俺らより女の子の方が良いだろう

女子が人ひとりを抱えるのは至難の業だが
それが麗日なら話は別だ。




麗日お茶子 
“個性”:無重力(ゼログラビティ)

五指すべての肉球で触れた対象物を
一時的に無重力状態にできる。





麗日が身動きもままならないハイリの手を取って
出口へと歩きだす。

その前を道を作るように飯田が進む。

ふわふわと浮いた身体は手を引かれ
風船のように宙を流れていく。

と、頭を上げたハイリがこちらを向いた。




『この事、二人には言わないで。』




この事とは倒れそうになった事を言っているんだろう。
二人とは爆豪と轟の事を指しているんだろう。

爆豪はともかく轟にはバレそうな気もするが…

懇願されたヒーローの卵たちはそうは思えど
弱々しくも必死に言葉を紡ぐハイリの姿に
頷くことしか出来なかった。

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