第26章 【空色】躁と鬱
~Side爆豪~
二言三言、反論くれぇあっても良さそうだと
そう思ってる時点で気が引けってやがる
この俺が、だ。
この学校に入ってから
自分の自信とやらが音を立てて崩れていく。
客観的にそれを捉えては
抗うように吠えて余裕を失っていく。
腐れ縁のデクに始まり
ポニーテールのヤツ
ハイリもだ
だが一番それを決定づけたのは
この男
スカした推薦入学者
いつも温度のねぇ奴だ。
ハイリ以外のヤツと言葉を交わしているトコなんざ滅多に見ねぇ。
この世にあの女以外の人間なんざ必要ねぇ
とでも言いた気は態度を感じてんのは
俺だけじゃねぇだろう。
いつも向けられんのは
その辺のモブでも相手をするかのような見下した目
思い出すだけでミシと奥歯が軋んだ。
出口を抜けさほど歩くことも無く
先に足を止めたのは
後ろを歩いていた轟の方だった。
気配と足音、何より癪に障る溜め息でそれに気付く。
振り返ってみりゃ
立ってるのすらうぜぇ
とでも言いたげにその辺の壁に背をつけ
あてつけがましくもう一度ため息をつきやがる。
顔を上げ、来た道を見やる様は
未だハイリが気になってしょうがねぇ
そう見えた。
どれだけの人間が気付いてんのかは知らねぇが
はっきり言って
こいつのハイリへの執着は異常だ。
誰よりハイリの近くに居る人間だ
俺よりもアイツを理解してンのも知ってんだ
だがコイツは
ハイリしか見えてねぇ。
その周りが見えちゃいねぇ。
冷えた視線が向けられる
全く温度の見受けられねぇ口調と態度が
俺の予想を決定づけた。
「見てやれっつったな。
てめェがアイツの何をわかってるってんだ?」
頭を壁につけ首を反る
蔑むような視線に変わりねぇが
わかる
俺に向けられた赤い感情が。