第25章 ♦番外編♦ ましゅまろホリック
「え、え、あの…あれ?」
自分がおかしいんだろうか
どう考えたってこの状況、おかしいのは彼のはずなのに。
あまりに静かな大食堂
確かにここには20名の生徒がいる。
それはいつもその5倍は居るんじゃないかと錯覚する程賑やかなメンバーで
確かに一人居ないけど、こんなモノではない事だけは確かだ。
(なのに……)
おかしい…凄くおかしい
なんでこんなに粛々としているんだろうか?
「焦凍、あの、あの何が…?」
お願い待って
何か気になってしょうがないのはわかる。
だけど何故私が脱がなければならないのか
せめて説明くらいあっても良いんじゃないかな。
第一いつも人前でボタンを開け過ぎるなと煩いのは焦凍の方なのに、ここではいいの?
今は良いの?
絶対周り見えて無いよね?
思ってはいても声には出せない
二色の双眸がそれをさせてくれない。
傍目から見ればただ大人しく、されるがままのハイリ
開けたシャツの間から覗くのは
もはや、谷間だけでは非ず
柔らかな肉を包む淡い水色まで見えている。
よく考えなくてもこのクラス
男子生徒の方が圧倒的に多い。
こんな醜態、流石に耐えられない。
何故こんな辱めを受けなければならないのか
第一――……
思考は轟の行動にぷつりと止まる。
予想できなかった訳じゃないが
それ以上に頭は他の事で満たされていただけだ。
同じ行動を繰り返していた轟は
予想を裏切らずまた繰り返す。
降ろされた頭は自分の胸元へ
紅白の髪に遮られて見えはしないが
今まで同様に胸を食まれたのが感触でわかる。
上がった熱は急速に
脳を沸騰させて、諸々の伝達回路を焼き切った。
(もう……どうとでもなればいい。)
肝が据わっているというのは
時にデメリットをも呼び起こす。
少女はここに、一つ悟った。