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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第4章 【桜色】毒占欲 陽性


~Sideハイリ~



片付けが残っていたのは本当だ。
いくら手伝ってもらったとは言え、引っ越し初日に片づけ終わる程私は器用じゃない。


「部屋は終わったし、キッチンかな……。」


口に出しても誰も反応する訳がない。

一人暮らしって独り言増えるんだな
なんて思いながら一人でクスと笑う。

白を基調としたフレンチシックな部屋は、一人暮らしが決まってから自分好みに仕上げようと1から買い揃えたものばかり。
ソファーにベッド、テーブルやカーテンからラグに至るまで全部。
この日を楽しみにしてたんだ。
昨日はまるで一人になれなかった。

だから今日から楽しみにしてた1人暮らしが始まるんだ。

なのに……


「寂しいな……。」


キッチン用品を片付ける手が止まる。

別に、ホームシックじゃない。
わかってるんだ
もう少し一緒に居たかった。

誰でもいいわけじゃない
彼と一緒に居たいんだ。

一緒に居たら、距離を取ろうとする癖に私は我がままだ。
マイナス思考に続いて我がままな自分まで見つけてしまった。
恋とは案外苦いものだ。


(ダメだ、このままじゃ滅入ってしまう。)


少しでも気を紛らわしたくて
買い物に出かけようとバッグを手に取り玄関へ向かう。

置かれたばかりの全身鏡に映る自分の姿に
「ハハ」と笑いが漏れた。


「うわ、着替えてなかったわぁ……。」


帰ってからもう2時間は経つ。
未だ着替えてない事に気付かなかったなんて重症だ。


「よっし! 少しおしゃれして出よう!」


もやもやする時はこれに限る、
一目惚れしたクローゼットを開けて
春カラーのワンピースに腕を通した。


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