第25章 ♦番外編♦ ましゅまろホリック
場所と具材の調達を済ませたのはハイリだった。
本日一番の功労者だと
クラスメイトは褒め称えたがなんてことはない
校長に強請りに強請って場所を確保し
ランチラッシュに駄々を捏ねて材料を確保した
ただのワガママだ。
それを知っている轟は
輪の中心でやや苦い笑みを浮かべる自分の彼女に
一人フっと吹き出し
確実に余るであろう量の具材へと目を向ける
そして
一番近いトレーに乗った菓子に手を伸ばした。
(この量…食えんのか?)
轟がそう思うのも仕方あるまい。
いくら育ち盛りの高校生とは言え
準備された具材の量はどこぞのホテルの
朝食ビュッフェ並みに並んでいる。
トレーに乗る具材は色とりどりに
イチゴを始めとしたフルーツ
ドライフルーツ、ミックスナッツ
ラスクにバケットにクッキー
チーズやポテトチップス
野菜スティックなんてものまである。
そして中でも一番多いのがこれ
本日大量に集まった
「マシュマロ? 王道やんなぁ~」
フォンデュピックにまるで焼き鳥のようにフルーツを連ねながら話しかけて来たのは麗日だ。
この約一年
ハイリと言う潤滑油が居てくれたお陰か
クラスの人間と話す事も増えたように思う。
そんなことを考えながら
王道と言われた手元の菓子をまじまじと見た。
「これ、食ったことがねぇんだ。」
もちろん知ってたが。
付け加えた言葉の半分以上は
麗日のバカでかい声にかき消された。
「ええっ轟くん、マシュマロ食べた事ないん!?」
ピタリ静まり返る食堂内
これはあくまで
嵐の前の静けさに過ぎない。