第25章 ♦番外編♦ ましゅまろホリック
『にしたって轟よォ
バレンタインがチョコ無料配布の日なら
ホワイトデーは何の日だと思ってたんだ?』
椅子の背もたれに肘を掛け
嘲り気味に問う。
これでもここは偏差値79の名門校
彼は何故気付かなかったのだろうか
それがいかに愚かな問いであるかという事に
峰田の問いに
苦笑いに見守られている事にすら気付かぬ轟は
当たり前のように言葉を返した。
『菓子を配る日。』
もう一度言おう
この学校は偏差値79の……
平然と返された『配る』という単語に
峰田は顔までも髪と同じ色に染め、その場で悶絶した。
『~~~~っっ!!!』
その後上がった峰田の絶叫はいつになく長く
その内容も理解不能。
唯一その意味を理解した爆豪の荒い説明によると
それはプラスチック爆弾の作り方だったそうだ。
『そんくらい知っとけやボケ!』
などキレながらも教えてくれるところが
なんと言うか流石爆豪。
しかし誰もが心の中で思った
(いや知る訳ねぇだろ!!)
今日もA組は平和な諍いが絶えない。
とは言え、知っていた爆豪は
まぁしょうがない
そう思おうと思えば思える。
問題は峰田だ
『リア充爆発しろォォォ』
そう言いたかったのだろう
なんと洒落の利いた罵倒だろう。
淀みなく出て来たその長い長い台詞に
今までそれを毎年使ってきたのだろうかと
胸を痛めたクラスの女子が
「今更だけど…」と言い出した結果がコレだ。
バレンタインなのかホワイトデーなのか
良くわからないごちゃまぜパーティ
一応名目はハッピーホワイトデーらしい。
要するに
楽しければそれでいい
そう言う奴らだ。
(やっぱ意味ねぇんじゃねぇか?)
恐らく
轟の考えは間違っていない。
ああ、
言い忘れていたが
これはそのパーティで轟が引き起こした
ハイリの細やかな災難の物語だ。