第25章 ♦番外編♦ ましゅまろホリック
今日の昼食は教室で
こんなイベントの日は外に出ないに限る
なんせ見覚えのない男までもが
ハイリにプレゼントを持ってくる。
『誰だ?』と問えば『わからない。』と返ってくる。
ハイリが忘れているだけで面識があるのか
面識ないのにイベントに便乗してやって来るのか
恐らく後者だろう
自分と違ってハイリは人の顔をよく覚えている。
見る“個性”だけにそこは確かだ。
ならば尚更
(目が離せねぇ…。)
こんな日に可愛いハイリを外に出してたまるか。
彼氏と言うより主人。
過保護なご主人様に守られたペットは
嬉しくもそれはそれで解せない。
ハイリだけじゃない
轟とて騒ぎの元なのだ。
大体お返しはどうする気なのだろうか?
この人がチョコをくれた女子生徒の顔を覚えているとは思えない。
一応準備してきたお菓子はチョコレートと同じ数
流石の私も自分の彼にチョコレートを渡した女の子一人一人の顔なんて覚えている訳がない。
というかそこまでお人好しじゃない。
バレンタインにひと悶着起こした二人の胸中は
当人同士は気付かなくとも
傍から見ている一同ならばよくわかる。
(また騒ぎを起こさなきゃいいけれど…。)
(頼むからやらかすなよ……?)
(無事に今日が終わりますように……。)
何があっても対処できるようにと
気を使ったクラスメイトは約半数。
いつも大食堂へ行く面々が
今日は教室待機。
一月前の二の舞だけは
そんな声が聞こえてきそうだ。
残り半数の内その更に半数が
いつも教室で食事をとっている者。
残りは…
純然たる興味本位で残った者だ。
『自爆しやがった。』
そんな罵倒を後で浴びるとも知らず
その一人、峰田が口を開いた。