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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第4章 【桜色】毒占欲 陽性


~Sideハイリ~


“個性”の発動で自身に負荷がかかる。

それは個人差はあれど皆それなりに持っているものだ。
だけど…


(あそこまで大怪我する…?)


あれじゃまるで“個性”発現したての幼児だ。
この歳でそんな怪我を負うなら
今までどうやって耐えて来たんだろう?

一切使わずに生きて来たとか?
いや、それでも“個性”は時間と共に馴染むはずだからな…

ここは発想を転換して最近“個性”が発現したとか?


「いや、それこそあり得ないか。
そんなの聞いた事無いし……。」


下校中、『一人』議論しながらただ歩く。
それが一人じゃないと気付いたのは
不意に右肩に掛かった圧力と耳をつくベルの音に顔を上げた時だった。


「へ……?」


間近で合った目には呆れと不満が入り混じっている。


(――ッ!? なんで轟くんがこんな近くにっ!?)


未だ見慣れないその綺麗な顔に
首から上へと急速に熱が集まっていった。


「あの…なに…?」

「せめて周りを見ろ。」


「危ねぇ」と付け足しながら後方を指した視線。
私たちの進行方向とは逆に向かって去っていく自転車の後ろ姿に、自転車から庇ってくれたのだと気付く。


「ごめん、ありがとう…。」

「どこだろうと寝るわ、考え事して周りが見えなくなるわ
お前って本当に危なっかしいのな。」


(加えて異性を家に泊めてしまうしね。)


浴びた皮肉に自虐が乗る。

さりげなく距離を取り周りを見渡せば
自宅はもうすぐそこだ。
轟くんの左手にはいつの間に買ったのか缶コーヒーが握られている。

つまり…
今の今まで上の空で歩いていたと……。

決して一本道ではない通学路。
進む歩道ではしっかり車道側を歩いてくれてるし
なんて言うか……


(はぁー……
なんでこの人こんなにカッコイイんだろう…。)


惜しみなくため息を吐き出すと
轟くんは呆れた顔のまま横目で私を見下ろした。


「そんなに気になるか? 緑谷の事。」


どこか素っ気なく放たれた言葉を
私はイマイチ理解できずにいた。



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