第24章 【空色】インフェリオリティー コンプレックス
~Side爆豪~
(見つけた。)
俺にはあってこの男に無いモン。
だが
それを喜ぶべきモンだとは言い難ぇ。
何の真似か
目にした光景は、つい最近俺がハイリにやった事そんままだ。
当てつけか
偶然か
ンなこた関係ねぇ
てめェがそう来るなら
俺がやることは一つだ。
「てめェらいい加減にしろ。」
右手で轟のブレザーの襟を掴みハイリから引き剥がす
同時にハイリの腕を引き左腕に収めた。
『“個性”を教えた方が納得して貰えると思ったの。』
出口をくぐった瞬間
かろうじて聞こえたハイリの声
轟がキレてんのは間違いなくココだ。
事情を知ってる人間からしてみりゃ無茶苦茶な話だが
『患者』に対するハイリなら十分あり得る。
なんせ俺に一戦申し込んで来たくれぇだからなコイツ。
顔は見てねぇが
対面していた男が恐らくそれだ。
(俺の推測が間違っていなけりゃ
正論を述べてんのは半分野郎になるっつーワケだ…)
未だ掴んだままの俺の手を解きもせず
僅かに俺を見下すキレた視線
開いた口から出んのは
ナイフみてぇな声だ。
「触んじゃねぇ。」
それが指すのは右手か左腕か
伸びて来た轟の手を躱すようにハイリを離し
その背を押す
左頬だけが感情と共に上がった。
「ああ、そのつもりはねぇよ。」
珍しく余裕がねぇ推薦入学者は
いつもスカした面に驚きを浮かべ
食堂の入り口をくぐらされた自分の女を目で追った。
見開いた目が尖り
俺らの間にだけ静音が落ちる。
考えてみりゃ
ハイリの居ねぇところで対峙すんのは初めてだ。