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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第24章 【空色】インフェリオリティー コンプレックス 


~Sideハイリ~


「そだね、あまり考えてなかったよ。」


嘘じゃない。
それどころじゃなかったし…

心操くんの向こう側へと視界を広げれば
爆豪くんを抑えつけている瀬呂くんと
両手を合わせて頭を下げている2人。

そして女子に囲まれてもう殆ど見えない紅白頭。

真面目な話の背景であんな事…
もしかして、私を笑わせたいのかな?


(まぁ…横入されるよりはいいのか。)


気を取り直して向かい合うと
自嘲気味な溜め息をつく所だった。


「洗脳する意思を以て投げた言葉に返事をしたヤツを洗脳することが出来る。ヴィラン向きだろ?」


葵色の笑みが歪む
劣等感の根元はここにあるのかと
チクリ棘が胸を刺した。

彼は私に、何と答えて欲しいのだろうか。
感情的にならなかったのは
多分賑やか過ぎる背景のお陰だ。

まさか感謝する事になるなんて。

誰も意図してやってないのに
一方的に絆を感じてしまう。

肩の力は最初から入ってなかったくらいだもんね。


「なるほど…私はてっきり私の“個性”について問いただされるのかと思っていたんだけどな。」


返したのは苦笑い。
私の予想は外れてないのだろう
クマの上に乗った気だるげな眼がフッと薄らんで
最初に見せた不敵な笑みが宿る。


「勿論訊くつもりだ。なら先に俺が言うのが礼儀だろ?」


嘲笑いはどちらに向けたものなのか
受け取った劣等感は
私を通してA組向けられているように思えた。

A組だけじゃないのかなB組
…ううん、ヒーロー科全体に。

フッと辺りが暗転したような気分は幾度となく感じるものだ
最高峰の雄英生徒と言えど、所詮高1。

私もそうでしょ?
嘲笑う自分がいた。


「んー…ヴィラン向きの“個性”とか
ヒーロー向きの“個性”とか…そんなのあるの?」


スプーンを動かしても視線は外せなかった。
なんと返ってこようがここは引けない。

なんとかしたいとか
そんな殊勝な感情じゃない。

これは、私自身のコンプレックスだ。

心操くんは初めて驚いた表情を見せ、すぐに緩め
そして小さく頷いた。


「俺はよくそう言われるけどな。」


捻くれた返事がまたチクリ胸を指す

色んな人が居るのだと僅かに逸らした視線の先で
不機嫌面の恋人の眉がピクリ動いたのが見えた気がした。



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