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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第24章 【空色】インフェリオリティー コンプレックス 


~Sideハイリ~


「あ…ごめん。」


初めて見た心操くんの笑みは
面白いおもちゃでも見つけたかのような
不敵なものだった。

二人からの威圧に忘れそうになってたけど
今から始まるのは多分、尋問だ。
内容は私の“個性”…だろう。

警戒する分
視線は僅かな動きもちゃんと捕らえてくれる。

紫色の頭がほんの少し傾いて
緩やかに上がっていた口角が更にクッと上がった。

一体何がそんなに楽しいのだろうか。
一人楽しそうな姿を見る私の目は
失礼だとわかっていても、怪訝なものになってしまう。


「……あの、どうしたの?」


問いは、更に彼に笑いを与えたようだった。
肩を揺らし、声を殺して喉で笑う。
原因はその内容を聞いてもよくわからなかった。


「洗脳。」

「うん?」

「俺の“個性”」

「うん、聞いた気がする。」


本当にわからない。

私が言葉を返すほどに
笑いは堪え難い物になっていくんだろう。

終いには口に手を当てて
前かがみになって笑いを押し殺し始めた。


不思議な人だ。


そんなに面白いなら我慢せず笑えばいいのに。
悪いけど何がそんなに面白いのか
イマイチ理解できない。

焦凍と爆豪くんの視線もさることながら
目の前のクラスメイトに私は困惑していた。


(何だか構えてる自分が馬鹿みたいだ。)


スプーンを握り直し
一口分掬う
だけどその一口は
私の口に入る前に止まってしまった。


「警戒しろよ。
お前秘密抱えてんだろ?」


話せる程度まで治まったのか
ようやく切り出されたそれらしい話題。

対面するこの笑みに色を付けるとするなら
彼の髪色と同じ
灰がかった紫、葵色だろう。


(来た…。)


気はかなり緩んでいた。
警戒しろと言う人に警戒するのは割と難しい。

この人から感じる感情は悪意と言うより…


「洗脳されたら秘密も何も全てぶちまけられる
とか思わねぇのか?」


ああ……

劣等感だ。


静かで、怒りよりもずっとずっと重い感情。


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