第24章 【空色】インフェリオリティー コンプレックス
~Sideハイリ~
「……と言う訳で、体育祭が二週間後にあるぞー。」
きっとA組の騒ぎ様は尋常じゃないんだろうな
一番に思ったのはそれだった。
雄英の体育祭と言えば
スポーツの祭典と呼ばれた「かつてのオリンピック」に代わり全国を熱狂させる日本のビッグイベントの一つだ。
勿論TVでも放送される。
サポート科・経営科・普通科・ヒーロー科がごった煮になって、学年ごとに各種競技の予選を行い
勝ち抜いた生徒が本選で競う…いわゆる学年別総当たり。
“個性”使用が許可…
というかむしろ活かして競う為、強力な“個性”揃いのヒーロー科が自ずと注目を集めてしまう。
ヒーロー科の為の祭典だと言ってもいい。
そのリザルトによっては
他科からヒーロー科への編入もその逆もあり得るものだから
ヒーロー志望の普通科の生徒なんかは
(やる気に満ち溢れちゃってる…と。)
どおりで注目を浴びてるはずだ
蹴落とすなら編入生だと思われてる私が
うってつけってトコかな?
(んでも私、C組で出場する事に…
あー…理解した。)
今、ただでさえ世間から注目されている
雄英ヒーロー科1-A
A組の生徒として私を出場させたら
自ずと目立つ。
つまり私を世間の目から隠したい訳だ。
(いや、私じゃなくて私の“個性”か。)
可愛げのない自分の思考回路に自嘲する。
全くそうならそうだと言えばいいものを
消太くんの配慮の仕方は遠回しすぎて
いつもよくわかんない。
とは言え、秘密にも限界がある気がする…。
嫌な予感はその日の昼休みに現実となった。
「楠梨、話がある。」
誰かは来ると
来るとしたら一番は彼だろうと思ってた。
だから驚きはなかった。
愛想のいい表情とはとても言えない灰色の瞳
すぐ下のクマは寝不足からくるものではないみたい。
(血行が悪いのね、体質みたい…。)
メガネが無いでせいですぐ診てしまう。
体力がいつまでもつか
そんなことを懸念していたものだから
1対1で昼休みをやり過ごせるならありがたい。
そう思った私は「二人でなら良いよ」と頷いた。