第24章 【空色】インフェリオリティー コンプレックス
~Side轟~
隣を歩くハイリを見ると
今度は空を見ながらボーっと歩いてやがる。
つられて見上げた初夏の空は澄んだ青
光のつぶてが目に痛くて思わず視界を細めた。
(確かにあれには、違和感しかねぇ。)
先に了承した手前
ハイリは反論出来なかった。
だが後になって考えて
矛盾が浮かび上がって不満が募るってのはよくある事だ。
今のコイツの頭は
それで満たされてんだろう。
何故あそこまでしてヒーロー科に入れておきながら
突然普通科に戻されるのだろうと。
(今までの傾向から見ても
何か理由があるんだろうが。)
だから――この一言を聞いた時
俺は声に出さず「ああ」と呟いたんだ。
病衣の状態でも既に仰々しく見えたが
ヒーローコスチュームに身を包んだ状態でのミイラ化は
一言でいえば異質にしか見えねぇ。
そんな担任を見て安堵する生徒
スルーする生徒
逆に心配を募らせる生徒
その様は十人十色だが
担任は全てを「俺の安否はどうでも良い」と一蹴りし
後付ける
「何より戦いはまだ終わってねぇ。」
どよめく生徒
各々が確認し合うように独り言ちる。
「戦い?」
「まさか…」
「まだヴィランが――‼?」
そんなざわつく教室内で
ミイラ化した担任は
その包帯の隙間から眼光を刺しながら言い放った。
「雄英体育祭が迫っている!」
束の間の緊張感は露と化し
クラス内は久方ぶりの騒音につつまれた。
その声は
ハイリの居るC組にまで届かんばかりの勢いだ。
アイツも今頃
普通科の教室で同じことを聞かされているんだろうか…。
「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」