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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第23章 【空色】自立神経失調症


~Side轟~


ヴィランと思わしき…
それはオールマイトがぶっ飛ばした野郎だ。

とても人間とは思えねぇ…あの。


(このままじゃアイツ……)


堪えられなくなるかもしれねぇ
ふと射した考えに眉間に力が籠る。

それが、どの様に映ったのか
肩に乗った手は
ただ俺の行動を制止するには
力が籠もりすぎていたように思う。


「心配ないよ、ハイリにヴィランを診て貰うのは初めてじゃない。側に警官も付いている、ヒーロー志望の君からすれば頼りないかもしれないが…。」

「いえ、そうではなく…」


否定はしたが
側にヒーローはいないのか
と思ったのは事実だ。

だがそれよりも今気になったのは


「…泣きそうだと。」


もう一度ハイリの向かった方向へ首を回すと
もうその姿は警察に紛れて小さくなっている。

もしもハイリがいつもどおりなら
例え親父さんの制止があったとしても
振り切って付いて行くだろう。

今は心配ぐらいしかしてやれねぇ
その分感情は著明に表れる。

反応のなさに気付いて回していた首を戻すと

ずっと変化のなかった笑みは
僅かに驚きを交えた表情へと形を変えていた。

固まったまま動く気配がねぇ。


「………?」


何か、変なことでも言ったのか?

頭を巡らせ始めた頃には
また、先程と変わらない
人の好さそうな笑みに戻っている。

だがその笑みが
小さな既視感を匂わせた。


「――――そうか。」


ハイリの完璧すぎる笑みは
父親譲りなんじゃねぇかって。

比べて見りゃ、ハイリのはまだまだだと思っちまう
そんくらい変化の見えねぇ笑み。

ポーカーフェイスといやぁ普通、無表情を連想するが
言うなればそれだ。

その顔がまざまざと近づいて
内緒話でもするかのように
なのに声は音量を上げて告げる。


「轟くん、良かったら番号を交換してくれないかい?」


その言葉に一瞬面食らったが別に断る理由もねぇ。
話の飛びように湧き出た疑問を飲み込んで
申し出を受けることにした。


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