第23章 【空色】自立神経失調症
コインの表と裏の様な二人の少年の心内は
各々の渦巻く思いと裏腹に
不思議な間をもたらした。
例えるなら秋の夜の凪いだ湖畔
風も波もない静かな湖に
虫の声だけが響いているかのような
静かで賑々しい
静と躁が織りなすなんとも異様な間。
その空気を感じ取った生徒数名は
ここに波風を立てるべきではないと
努めて背景に徹していた。
だがその湖に
小石を投じるかの様な声が上がる。
「ハイリっ!!!」
その声に
あくまで背景曲だった辺りの騒音までもが一時停止した。
声は大きくはっきりと
警察の面々すらその音を静とする。
聞き覚えの無い声の主は
少女の名を大声で呼び――
その名を持つ少女に抱きついた。
「「「!!!!!!!」」」
咄嗟の…あまりの出来事に
一人を除いた生徒全員が叫びすら飲み込んだ。
「何の」前の静けさと言うべきか
ここは敢えて…
「爆破」と言うべきだろう。