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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第23章 【空色】自立神経失調症




『両腕粉砕骨折、顔面骨折…
幸い脳系の損傷は見受けられません。
ただ…眼窩底骨が粉々になってまして…
目に何かしらの後遺症が残る可能性もあります。』

「だそうだ…。」































ゲート前
連行されていく下っ端ヴィランの脇で
生徒の数を確認し終えた刑事に蛙吹が問うた。


「刑事さん、相澤先生は……」


スマホのスピーカーから流れて来る担任の容態に
表情を暗くした生徒は一人や二人じゃない。

ある者は眉尻を下げ口を閉ざす
またある者は瞼を伏せて視線で爪先を刺す。

自分たち生徒を身を挺して守ってくれたのだ
そんな担任が重体と聞かされては
至極当然の結果だろう。


そんな中
ハイリの表情だけが一際目立っていた。


目尻を下げ、上がる口角は緩やかに。
瞬きすらゆるゆると動き
一人だけ緩やかな時の中へ迷い込んでしかったかのよう。

もしも微笑みの面があるとするならば
きっとこんな表情をしているのだろう。

怖いだ苦手だと言っても
幼い頃から世話になっている男
兄のように思っていた人がそれ程の重体なら
誰だって心配するだろう。
その表情暗くしたって誰も咎めないだろう。


あまりに異な表情
例え皆の気を少しでも軽くと気を張るにしても
程度が過ぎる。


その少女の心内に
何人が気付いただろうか。


付いて離れようとしない少年は
少なくともその違和感に気付いた。

本来なら自分の役目じゃないと思いながらも
その役目を放棄した恋敵を睨む。


(なんでテメェは側に居てやんねぇんだ?)


緋色の双眼にその意を込めて。




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