第23章 【空色】自立神経失調症
「ねむ…。」
三限目が終わる頃には
目を開けることすら辛くなっていた。
二限目の道徳の時間は5:5のディベート
他の生徒は傍聴という名の自習だ。
そして今はテストの答案の返還
悉く自由時間の様な時間割。
こうも間髪入れずに多人数を診ることは初めてで
相澤の言ったとおり少女の体力はもう尽きかけていた。
身に染みてわかる
この程度ではこの“個性”
使い物にならないと。
メガネを没収されたのはこの為か
午前中の授業を潰してまで
私の“個性”を強化したいのか。
(職権乱用すぎる…。)
雄英の教師が揃いも揃って
私を潰しにやって来る。
睡魔に襲われたハイリの頭は
それくらいにしか考えていなかった。
「ハイリ…少し寝なさい。」
「ねむりちゃん…?」
ふわりと頭を撫でられて見上げたのは
教師陣の中でも最も少女に甘いと言って良いだろう
18禁ヒーロー ミッドナイト
本名 香山睡
“個性” 眠り香
極薄タイツにボンデージ
この過激なヒーローコスチュームが特徴なお姉さんだが
プライベートはそうでもない。
ちょっと変わった趣味を持ってるが
いつも味方で居てくれる。
リカバリーガールとはまた違う味方
絶対に厳しいことは言わない
ただひたすら甘い姉のような存在。
だから、この言葉に少女が違和感を抱く事はなかった。
「ほけんしつ…?」
「ここで寝な。もう歩けそうにないじゃない…。」
頭を撫でた手が瞼を閉じるように
視界を上から塞いでいく。
魔法の様な
彼女の“個性”の様な仕草に
少女はなんの迷いも無く机に顔を伏した。