第22章 ♦番外編♦ ちょこれぃとホリック
言葉は決して詳細なものでは無かった
なのにその情景は事細かに想像が出来た。
「悩んでたら、緑谷と飯田が…」
「うんうん。」
「そこに麗日が来て…」
「あー来そうだね。」
「さらに蛙吹と葉隠が来てだな。」
「想像できるよなんとなく。」
「菓子作りならと砂藤が巻き込まれ。」
「あはは、確かにね。」
「峰田が割って入って来て。」
「それは…予想外。」
「喚くもんで上鳴達がやってきて。」
「ん…。」
「騒ぎになって耳郎が止めにやってきて。」
「あははっ。」
「サプライズならと言いながら青山までが来て。」
「サプライズ…と言ったら青山くんなの?」
「知らねぇ…で、便乗した芦戸がクラス中巻き込んで…。」
「うん…想像できる。」
「いつの間にか全員いてだな。」
「流石…A組だね。」
「あぁ、爆豪意外な。」
「そこも…A組って感じだね…。」
「なのに帰りはしねぇんだアイツ。」
「多分、心配だったんだよ…彼の事だから。」
「で、何やるか悩んでるっつったら。」
「そこで誰もツッコまなかったの?」
「ああ、八百万が真っ先にホットチョコって。」
「あー…なるほど。」
耳のすぐそばで事の全貌を聞きながら
私の笑みが絶えることは無かった。
多分、ツッコみたかった人の数は一人や二人じゃないだろう。
八百万さんの機転に皆が合わせてくれたんだろう。
それくらい、ツッコめない程悩んでいてくれてたんだろう。
それも嬉しかったけど
「ねぇ…」
「ん?」
「恥ずかしかった?」
「ああ、かなりな。」
皆が焦凍の相談に乗ってくれた事の方が嬉しかった。
焦凍は、なかなか周りを頼ろうとしないから。
「ん、美味し。」
二口目、口を付けたチョコレートは
もう立ち上がる湯気も消えてしまっていたけど
一口目よりずっと濃厚で甘く思えた。