第22章 ♦番外編♦ ちょこれぃとホリック
甘いキスの後は内緒話
囁き合いながらなのはいつもの事だ
間に隙間なんて1センチも無い
これが私達の距離。
だけど今日はちょっといつもと違う
常に飄々としている焦凍くんは居心地悪そうだ。
悪戯に笑い掛けると
苦虫を噛み潰したみたいな表情の彼が
スィっと目を逸らしていく。
「ね、」
「ん?」
「なんで私のチョコは突き返したの?」
「お前チョコ好きだろ?
なんでわざわざって思った。」
「あー…。」
妙に納得してしまった。
いつも私と焦凍のおやつの割合は
9:1だもんね。
(やっぱり私が悪い…。)
しょうがない、自業自得だった。
人生初の本命チョコは渡せなかったけど
これはこれで良いかななんて
私はものすごく単純で、幸せ者なんだと思う。
「納得したのでこの話はもうお終いです。」
「言うと思ったが、俺は納得できてねぇ…。」
「ハイリさんは眠たいです。」
「お前、それいやぁなんでも逃げられると思ってるよな?」
「へへっ。」
こうして今年のバレンタインは
大失敗に終わった。
ちょっと悔いは残るけど…
まぁ、自業自得だ。