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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第20章 【琥珀色】月光欲


~Sideハイリ~


「は…ぁっ…はぁっ…っ」

「ハイリ…。」


目を閉じていても視界は真っ白だ
無彩色の世界で荒ぶる息を整える中
甲高い耳鳴りに混じって
私を呼ぶ声が近付いてきた。


「ハイリ……。」


肩に髪が触れて
ねだるように
甘えるように頭を摺り寄せて来る。


「ハイリ………。」


なんだかいつものこの仕草がすごく懐かしい。
そんな感覚に
勿論、思った。


(元に、戻ったのかな…?)


ホッと息をついて
いつものように髪を撫でようとして
鈍い痛みにまた思い知る。
繋がれているこの腕では
頬を撫でることも出来ないのだと。

「解いて欲しい」
思わずそう言いかけて――…


「嫌いになったか?」


…――先に言われてしまった一言、
その温度に何も言えなくなった。

温度の無い声音はこれだけ近づいても
変わらない。
どこか嘲るような感情の無い声。

なのに声とは裏腹に
強く抱きすくめられて
その腕がとても熱くて

相反するものが同時に在る

焦凍そのものを表わしている様な違和感に
頭が真っ白になる。

問われているのに何も返せないまま
エコーが掛かったかのように響く声は
追いかけるように畳みかけて来た。


「嫌いになって良い…。」


この言葉に胸を押し潰されそうだと
一瞬でも憂いた私は、なんと愚かだったのだろう

次の言葉に
その震える声に
焦凍が何を伝えようとしていたのか
ようやく理解して、思い知った。


「嫌いになって良い。
それでも俺はお前が好きだ。
絶対離れねぇ。」



押し潰されそうになっていたのは
私じゃなく
彼だったのだと。

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