• テキストサイズ

【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第20章 【琥珀色】月光欲


~Sideハイリ~


妖しいほどに美しい
一夜限りの大輪の花は
夜明けを待たず外輪の花びらを落とした。

白い花びら一枚に
言葉一つを乗せて


「好きだ…。」

「ん…。」


背に回された腕は
その一言を交わすごとに強くなっていった。













「嫌われようが好きだ…。」

「うん…。」


「遊びじゃねぇ、夢でもねぇ。」

「わかってる…。」


「わかってねぇから、あんな事言うんだろうが…。」

「……ごめん。」












ゆっくりと焦凍自身が挿入ってきて
その分押し出されるように口から深い吐息が漏れる。


「好きだ、別れてやらねぇ…。」

「は…ぁっ、私も、大好きだよ…?」

「ハイリ…っ」


あぁ…これを伝えたかったのかと
それだけの為に、こんならしくない事をしたのだと
全て理解して、今宵の行程全てを思い返して
吐息と共にフッと笑みが零れた。

容姿も才も“個性”までも恵まれて
それこそ全てを持って生まれてきたような人だ。

でも心の壁の内側を覗いてみると
誰よりも愛情に飢えていて
いつもは平気な顔で翻弄してくれるくせに
強く求める時ほど、愛情表現が下手で


(意外と、不器用な人なんだな…。)


ムードなんて欠片もないし
何処だろうと周りは全然気にしてくれないし
ストレートの割に肝心なとこは抜けてる…。

完璧なようで、全然完璧じゃない。


(でも……)


だから
放っておけないんだ。

抱きしめてあげたいって思う。
側に居て、支えてあげたいって思う。

誰もが羨むその強さを支えている柱は
危うい脆さを併せ持ってる。

いつか誰かが焦凍の壁を壊してくれるまで
その柱は持たないかも知れないから
私じゃきっと、その壁を壊す事は出来ないから
せめて折れてしまわないように、側で……


「っ…ぁ」


淡く啄むような刺激は
先程までの行為を詫びるかのように優しく
甘く私の中を溶かし食んでいく。


(結局、捕食されてしまったな…。)


花と蝶?
蝶と蜘蛛?

幻夜の戯れを青い月が静かに笑う。


誘われるまま始まった月のワルツは
甘く、高い音と共に幕を閉じた。





/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp