• テキストサイズ

【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第20章 【琥珀色】月光欲


~Sideハイリ~


月に薄雲が掛かったのだと
和らいだ光にそう思った。



乱れた布団に埋もれ
そこに蓋をするように覆い被さられては
逃げて良いって言われても
きっと逃げられない。

なのに私の心を見透かしたように焦凍は笑う。


「今日は逃げて良いなんて言ってやらねぇ。」


それでも、逃げようとしないと
自我を保てないと思った。


「だめだよ…?
今日は、だめ。」


迫る胸を押し上げて
押し上げてもビクリともしないけど
それでも押し上げて
抵抗の意を見せる為に出来るだけ顔を逸らす。

瞳に捕らえられたらもう逃げられないと
理性で足掻く。

なのに顎を捕えられて
あっさりと視線に縛られた。


「ハイリの『だめ』は『駄目』じゃねぇ…よな?」


小首を傾げて
ダンスに誘う様に手を取られると
月明かりに光る瞳が細められていく。

二日月を象ったままの唇はそのままに
指先にキスを一つ

もう一つの手も捕らえられて
同じようにキスが落とされると
楽しそうに笑う。


「掴まえた。」


片手で簡単に掴まった。
こんなにも容易く捕らえられた。

雲の合間から月光が揺らぐ
左側に射したその明かりに
白い髪は光を含んで


(綺麗……。)


瞬きするのも惜しいと思った。

なんでこの人はこんなに綺麗なんだろう
まるで月の下に大輪を咲かせる月下美人の様…

目を奪われた時点で
もう、足掻きようがないのだろう。

少しだけ羽を休めようと
香りに誘われるままに留まった花は
甘い毒を含んでいた。

知らずに飛び込んで
脳が痺れて思うように体が動かない。

もがけばもがく程絡みついてくる捕縛の糸に
絡め取られてしまったんだ。


「ちゃんと掴まえておかねぇとな。」


ゆっくりと弄るように腰から這い上がった手は
今の今まで着物の合わせをかろうじて保っていた浴衣の帯を
引き抜いて
瞬く間に私の両手の自由を奪ってしまった。


「焦凍…だめだよ…。」

「わかってる…。」


色違いの瞳が告げる

『だめ』は『駄目』じゃない。






そんなこと――
私の方がわかってる……。


/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp