第20章 【琥珀色】月光欲
~Sideハイリ~
やわやわと与えられる柔らかな刺激が
思考を溶かしていくみたいだ。
吐き出した熱い吐息より
吸い込む涼しい外気の方が多い
このままじゃ過呼吸になっちゃう。
滲む生理的な涙を
熱い舌が掬い取った。
「返事、してやれ。」
酷いことを言う人だ
言葉を漏らそうものなら
変な声を出してしまいそうだ
かと言って無言を続けたら……
電話の向こう側の声は
苛立ちを増したようだった。
『オイコラ、ハイリ…
いい加減なんか言えやッ!』
「ごめ…んッ…今、は
あっ…明日! かく…にん、するからっ!
きッ――…」
切ると言いかけたその口は
焦凍の手に阻まれた。
(お願い…電話を切らせて)
心の中で叫ぶけど
許してくれそうにない。
これだけ息も絶え絶えなんだ
もう、変に思われても不思議じゃない。
クスと笑う焦凍は
それをも楽しむように
耳元でチュッとリップ音を響かせて
硬くなった胸の先端を布越しに甘く引っ掻き始めた。
「~~~~~~~っっっ!!!」
『………お前、なんか変じゃねぇか?』
「っ…ぃゃ、へいき…。」
『…は?』
呻く声位は聞こえたかもしれない
爆豪くんの声色が変わって
しかも何か怪しまれ始めて
もう声も出せない。
焦凍に向かって小刻みに首を振る。
もうやめてと訴えているのに
嬉しそうに細められた瞳はフッと視線を落とし
割られた浴衣から覗く足へと向けられた。
(待って…すでに限界なのにっ)
つっ…と指が太腿をなぞるだけで
悲鳴のような声が出てしまいそうなのを
呼吸ごと口を抑え込んで飲み込む。
どうしてこんな時に限って
こんなに感じてしまうんだろう…
どう考えたっておかしいのは…
私だ…