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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第20章 【琥珀色】月光欲


~Sideハイリ~


部屋に
仄かな光が差していく

月が雲間から顔を出したのだと
照らされた焦凍の横顔を見て
障子が開いたままな事に初めて気付いた。

青さを伴うその光は焦凍の様だ
厳かで美しく神秘的

言葉にそぐわない綺麗な笑顔に
一瞬、聞き違えたのかと思った。


「よば…い?」

「もちろん話もする。」


光をも溶かして纏うその頬に手を伸ばすと
緩やかな曲線を描く口元が僅かに開く


「どうした?」

「いや…だって、だめ…だよ?
お姉さんだって…。」


言いながら惑う
本気で彼は言っているんだろうか?

向けられた笑みがあまりに綺麗で
それこそ純水の様で
そこに生態系が存在しないのと同じように


(感情が――…)


読み取れない。

再びスマホに光が灯る。

先ほどより数段明るい部屋の中
焦凍の笑みはちゃんと見えているのに
その裏が読み取れない。

瞬きする事も忘れた身体は
何も言わず、動かず
ただその姿に魅入ることしか出来なかった。


「それより、退いてくれねぇか?」


俺は嬉しいが…そう付け足して
長い指が私の膝から太腿にかけて撫であげる
跨っているこの状態
浴衣の裾は自ら割れ、足は剥き出しだ。

突き付けられた正論に
やはり今のは冗談だったのかと


「ごめん…」


一言詫びて
布団へと腰を降ろす。

返事の代わりに差し出されたのはスマホだ


――buzz buzz


己が着信を主張するそれを
笑みを湛えたまま突き付けられ
また一つ惑う。


(出ろって事……?)


表示された名より
時間の方に目が行った。

0時02分

この時間なら寝ていてもおかしくない
加えてこの状況
出ない方が賢明だと思う私が可笑しいのだろうか

止め処なく押し寄せる状況に頭は付いて行かず
小さく首を振った。


「明日…かけ直すから今はいいよ。」


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