第20章 【琥珀色】月光欲
~Sideハイリ~
陰った月では部屋を照らし切ることは出来ず
灯った小さな液晶画面も僅かに足元を照らすだけ
輪郭すら覚束ない焦凍の顔に手探りで触れて
その意味を問い直す
「残念…ってなに?」
「ああ、幽霊の方がよっぽど優しかったんじゃねぇかって
思ってな。」
表情が見えない分、言葉の裏も読みにくい。
だけど
それは頭の中心にあったことだ。
焦凍に馬乗りになったこの状態で言っても
気持ちは伝わらないかも知れないけれど
一番に言わなきゃいけないと思ったことは
お詫びだった。
「さっきはごめんね…。
怒ってるよね…?」
「ああ、だから話しに来たつもりだった。」
「……だった?」
「予定変更だ。」
「変更って…何に?」
少しの間
小さく唸り続けていたバイブレーションが
フツリと鳴きやんだ
色を変えた液晶画面が光を失うまであと僅か
返事は光が消えた瞬間に紡がれた。
「夜這いだ。」