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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第19章 【琥珀色】訪問診療録(後編)


~Sideハイリ~


猫って
じっとしていたかと思ったら
突然フラリと動き始めて
火がついたようにエサを強請ったりするよね。

猫に似てるなって良く思うけど

こういう所が特に似てるなって
…………思うんだよね。








「よし、行くぞ。」









今の今まで仰向けになって天井を見上げ
考え事をしてたと思ってたのに
見事な腹筋と言うべきか
難無く起き上がり、私の手を取って私より先に立ち上がる。


「っ何処に!?」


私の疑問はごく自然なものだろう
さっきまで帰るだ帰らないだの話をしていたんだ。

帰らない方向で纏まったばかりなのに一体何処へ――…

訳も分からぬまま立ち上がった私に
悪戯に光る瞳が近付いた

自分の実家で見せるにはあまりに色を帯びたその表情は、誘うようにクスリと笑い、私の手首を握るその手に力が籠る。

逃がさない
その言葉の代わりに出て来た誘い文句は…


「俺の部屋。
色々溜まってんだ、癒して貰う。」


結構直球だった。
こうも直球だと羞恥よりもトキメキよりも…。


「ちょ…っと待って…?」


ツッコミ精神の方が増し増しだ。


溜まってるってストレスだよね?
癒すってマッサージかな?
いつの間にご機嫌になったんだろう?
嬉しいけど、この切り替わりに付いて行ける気がしない。

そもそもここは親、姉のいる実家だ
ん? 私の勘違い?
自意識過剰なのかな…

気まぐれ猫は今日も絶好調。

渋る私の両手を見事に片手でまとめて掴む
これじゃぁまるで連行だ
部屋から出たところでお姉さんと鉢合わせしなければ、確実に連れて行かれていただろう。


「あれ?
二人ともどこ行くの?」

「俺の部屋、今夜泊める。」


正直、
素直すぎるのもここまで来ると問題だとしか言いようがない。

唖然としたお姉さんは
お菓子を乗せていたお盆からお菓子を取り去って


――バコン


子気味良い音を響かせ
そのお盆で紅白の頭をどついた。



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