第18章 ♦番外編♦ 紅白中毒症
~Side轟~
「やっと寝たか…。」
朝弱いくせに早起きなんかするからだ…。
ハイリの顔の横で頬杖をつき
笑みを象ったままの唇を撫で
一人笑う。
買い物中もこんな顔して笑ってた
そう、思ったからだ。
『好きなケーキ?
別にねぇな…。』
『んー、言うと思ったけど
言われるとそれなりに衝撃だなぁ…。』
『お前が好きなケーキでいいぞ?』
『どうせなら焦凍の好きなケーキを作りたかったのっ!!』
誕生日なんて言われるまで忘れていた。
言われても尚、実感が湧かねぇ。
祝われるって感覚より
ハイリが楽しそうだってのが
ただ嬉しかった。
曖昧な答えを返したにも拘らず
ハイリは特に悩む様子無く歩を進め
手に取ったのが苺のパック。
『やっぱこれだよねっ!』
そうだ、この顔で笑っていた。
あの時は
本当に食いたいケーキなんて思いつかなかった。
どんだけ拗ねられようが
一緒に食えればそれで良い
そう、思ってたが……
「今、ようやく解かった……。」
俺が欲しいケーキは何か。
起こしてしまうのが勿体ないと思う程綺麗な寝顔
クリームのように滑らかな頬を撫でて
苺のようにみずみずしい唇をつついて
呟く。
30分なんてあっと言う間だ
「じゃ、遠慮なく。」
まずは準備と立ち上がり
キッチンへと足を向けた。