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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第17章 【琥珀色】訪問診療録(前編)


~Side轟~


「焦凍、紹介しろ。」

「っ………!?」


驚いたのは俺だけじゃねぇ
弾かれた様に振り返った姉さんの表情は
そのまま俺と同じものだと思って良い。

有無を言わさず追い出すことはあっても
「紹介しろ」と言われる事なんざ露ほども思っていなかった


(何考えてやがる…。)


生憎、この男の善意なんざ見せつけられたところで
今更信用なんか出来る訳がねぇ。
第一さっきまで誑かされているだなんだと言ってたじゃねぇか。

睨み上げたクソ親父は
笑みすら浮かべてやがる。

何がしてぇのか
初めての状況に舌打ちを飲み込む。

落ちた沈黙はさして長くも無かった筈だ。
だがそれを無理やりに撃ち破るように
ハイリが一歩前へ進み出た。


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
焦凍くんとお付き合いさせて頂いております
楠梨ハイリと申します。」


仮にも相手はプロヒーローだ
俺の話聞いて、人物像だって把握してる筈。
自分がどう思われてるか
想像つかねぇほど馬鹿な奴でもねぇ。


(ったく、どこまでも……。)


どこまでも肝の据わった女だ。
そんで、こういう頭の回転だけは速ェんだコイツは。

かき上げた前髪を握り、息をつく
そもそも紹介する価値がどこにあるかわからねぇ。
だがここで何も言わねぇってのは
ハイリを蔑ろにするって事になっちまう。

結局俺は親父に紹介するしか選択肢がねぇわけだ…。

半乾きの髪を撫でて
肩を抱き寄せる
気が進まねぇがしょうがねぇ

せめてもの当てつけに盛大に溜息をつき口を開く。


「名前…は言ったか、うちのクラスの編入生だ。
先に言っておくが何言われようが別れるつもりなんざねぇ。」


俺の言葉に親父は嘲るように鼻で笑う。
いい機会だ
最悪絶縁するか…

そこまで考えた。





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