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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第17章 【琥珀色】訪問診療録(前編)


~Sideハイリ~


最悪絶縁するか

そんなことを考えてそうだ……。


肩に込められていく力は強く
布越しだと言うのに爪が食い込む勢いだ。

相対している男性は
付き合っている彼の父親で
プロヒーロー、しかもNo2
そして初対面

肝の据わった流石のハイリさんも、緊張しないわけがない。

だけど隣の焦凍が今にもキレてしまいそうで
内心冷や冷やで
緊張どころじゃなかった。

フッと笑ったエンデヴァーさんは
一歩分こちらへ歩み寄り
私の顔を窺うように首を傾げて見せた
不思議な反応につられて合わせ鏡のように小首を傾げると。


「成程…。」


一言呟いて顔の周りに纏っていた炎を消した。
トレードマークの炎が消えたのだ
そりゃ誰だって驚くと思う。


(オンオフ可能なんだ…。)


事実、驚いたのだけど
実は驚くべきはそこじゃなかった。
次の言葉だった。


「焦凍の父、炎司だ。
息子が世話になっている。」


この時思ったんだ――

私の知ってるプロヒーロー、エンデヴァーの人物像は
全て焦凍からの情報で構成されていて
それこそ固定概念のようなものが働いているんじゃないかって。
全てが嘘ではないだろうけど
見えてない部分ってやっぱりあるハズだって

それでも呆然としてしまって
焦凍より二回りは大きいそのヒーローを見上げたまま
佇んでしまう。


「もう遅い、遠慮せず泊って行くと良い。」

「え────?」


返事もままならない
それすら気に留めて貰えず、
すれ違いざまにポンと肩を叩かれて
その場を去っていく。

去り方までヒーローだ……。

なんて、悠長なことを考える端っこで
とんでもない事になった…位は考えていた。


(なんで……?)


“個性”くらいは聞かれるかと思ってた
何も聞かれぬままご招待を受けてしまった。
しかもこれに関する選択権など…私には無い。



「ちょっとだけ」から始まった轟家訪問は
二転三転して済むに終わらず
ここに来て、ちょっと所じゃない展開を迎えてしまった。


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