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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第17章 【琥珀色】訪問診療録(前編)


~Side轟~


親父の顔と風呂場の方と交互に見て
青ざめていくのは姉さんだ。

この世で最も顔を合わせたくねぇその男は
慌てふためく娘に目もくれず
腕を組み、満足気に笑う。


「焦凍、やっと帰ったか。」

「姉さんに顔見せに来ただけだ。
明日には帰る。」


話してる暇なんかねぇ
それだけ吐き捨てて、踵を返す。

親父が帰ってまず向かうとしたら
訓練場か風呂かのどちらかだ。
ハイリの存在を隠すつもりもねぇが、
もし風呂場で鉢合わせたら……
考えただけで身の毛がよだつ。


「待て、話がある。」

「俺はねぇ。」


床を鳴らす音で歩幅がかなりデカいことがわかる。
このままじゃいやでも鉢合わせだ。


(仕方ねぇか…。)


風呂場に入られるよりはまだいいと
進めていた歩を止める。
俺の態度に親父は僅かに目を見開いて
ゆっくりと、大きく頷いた。


「俺に合わせたくない女でも招いているのか?」

「テメェにゃ関係ねぇだろ。」


俺の意図などわかっているとでも言いたげに
口角を上げ笑う。
よく考えりゃ、玄関にはハイリの靴だってあるんだ
ヒーローじゃなくたってわかるってモンだろ。


「大ありだ、大事な息子が誑かされている訳だからな。」

「るせェな…黙れ…。」


予想できてたにも拘らず
怒りは湧き上がる、
こんな言葉、こんな会話
ハイリに聞かせたくねぇ。

このまま続けたら間違いなく殺し合いまがいの
戦闘が勃発するところだったろう。
タイミングが良いのか悪いのか
会話を遮ったのはハイリの声だった。


「お風呂ありがとうございまし……た。」


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