第16章 【琥珀色】CT knock
~Sideハイリ~
「オイコラ…
質問しといて目の前でイチャついてんじゃねぇッ!」
「付き合ってんだから俺らの自由だろ。
てめェも大概しつけェな…。」
いや、自由じゃない
俺らでもない
絶対爆豪くんの方が正しいことを言っている。
なんて頭の中で突っ込んでいる間に
二人の口論は始まってしまっていた。
爆豪くんの目は
もう私なんか通り越して後ろの焦凍に夢中だ。
焦凍も焦凍で
後ろから私の口を腕で塞ぎ頭の上に顎を置く。
お前は口を出すなと言いたいんだろう。
焦凍と爆豪くん
それぞれと二人でいる時は比較的穏やかな人たちなのに
これが3人同時に会すると…
私だけが取り残されてしまう。
私の頭上で言葉を交わし合うなんて
あんまりだ…。
こうなってくると私も対抗意識が芽生えてくるのだ。
(宣戦布告したのは私なのに!)
爆豪くんは私なんか目に入ってない
焦凍も焦凍だ
私の目の前で無神経なっ!!!
私にとっては忌々しき事態だってのに
介入できない。させて貰えない。
なのに、話題だけは殆どが私だ。
「大体テメェがそんなだから
ハイリに火の粉が飛ぶんだろうがよっ!」
「意味がわからねぇんだが…?
なんかあったのか?」
いや、何があったかも何も、それは爆豪くんの勘違いで…
というかその前に口を解放して欲しいんだけどね?
心の中では溜息の嵐だ。
鈍感な焦凍と不器用な爆豪くんでは
ただの喧嘩にしかならないのだ。
私は出汁にならざるを得ないのだろうか。
そんなことをしては
いよいよ破局への道まっしぐらだ。
難しすぎる三角関係だ…。
「ちげぇだろうが…ったく使えねぇ男だな
オマエこんな野郎のどこが良いんだ?」
「聞き捨てならねぇな、つかなんで爆豪に言えて
俺に言えねぇんだ?」
「「おい、ハイリ?」」
そして
最終的には二人タッグを組んで
私は責められる。
なんでここだけぴったり息が合うのかな。
理不尽だ!!!!