第16章 【琥珀色】CT knock
~Sideハイリ~
こんな感じで
爆豪くんとの友情も順調に育んでいる今日この頃。
だからと言って
3人の関係が丸く収まっているわけでは無いのだ。
不思議な事に。
「ハイリ。」
教室のドアを開けると
待ち構えていたかのようにそこに焦凍がいた。
安定の無表情で
人の机に堂々と腰かけて足まで組んで
凄く様になってるし、カッコイイんだけど
席の持ち主である青山くんが
複雑そうに笑っているではないか。
もはやその目は何処を見ているのかわからない。
(笑いたいけど
笑っちゃいけないよね。)
ザワリとクラスが1度だけ波打って静まり返る。
あの日以来、焦凍と爆豪くんが鉢合うと
このクラスには
こんな、微妙な空気が流れるようになってしまった。
ピンと張りつめた糸のような
ピリッと走った電流のような
そんな空気が室内を満たす。
なのに肝心の2人は全く気付いてないときた。
するりと首元に巻き付いてきた腕は
後ろから伸びて来た。
「また爆豪にちょっかい出されてたのか?」
長い指に顎を掬われ
猫を扱うがごとく喉を撫でられる。
猫じゃなくてもゴロゴロと鳴ってしまいそうだ。
なんて思いながら口を開いた瞬間
その口をキスで塞がれてしまう。
「んーん、そうじゃな……ぅんっ!?」
最近の焦凍のスキンシップは
遠慮がない。
本人曰く
『宣戦布告よりもよっぽど効果的だ。』
らしいのだけど
肝心の爆豪くんに効いてないのは明らかだ。
(むしろ闘争心を煽っているだけじゃないのかな?)
案の定
甘い香りが漂ってきてそちらへ目を向けると
爆豪くんがバチと火花を手の平で弾かせていた。
ホント、罪な男だと思う。