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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第16章 【琥珀色】CT knock


~Sideハイリ~


爆豪くんが怒っているのか照れているのか
最近やっと区別がつくようになって来た。
これは3:7といった所か……。

反応を待っていると
詰まらせた勢いを一気に吐き出すがごとく
その全てが私へと投げられた。


「っ…………テメェにだけは言われたかねぇッ!」

「仰る通りで…。」


ここは廊下だと言うのに
端から端まで届きそうな大声で
怒鳴り散らす。

御尤もな意見だ
彼にとって私ってまさにソレだもんね
そりゃ言われたくないだろう。

態度はお世辞にも良いとは言えない
ニコリともしないし
出てくるのは文句ばかりだ

それでも仲良くなったと思ってるのは
私だけじゃないと思う。

騒然の波は揺り返し、凪いで戻ってきた
鬱憤を吐き出した爆豪くんは
私の反応が薄いせいか
ふて腐れて前を向く。

そしてぽつり、呟いた。


「きつくなったら、言え。」

「…………。」


その呟きに私は口を開けたまま数秒固まってしまった。
照れている。
私じゃなくてもわかる程に……。
顔はあっちを向いてても
耳を隠さないとバレバレだ。

言葉より先に笑いが込み上げてきた。


「なったらねっ。」


すごいと思った。
羨ましいと思った。

「お前に言われたくない」と言ったその口が
「きつくなったら言え」と言う。

私だったら言えるだろうか
そこまで思いやれるだろうか


(やっぱヒーローなんだな。)


心配してくれているんだろう。
素直じゃないのが難だけど
それはお互い様だ。
いや、爆豪くんの方が幾分素直かな。


「テメ、言うつもりねぇだろ。」

「爆豪くんに言ったらケガ人が出ちょいそうで
私の仕事が増えるだけな気がしてさっ!」

「ンだとコラ…。」


プリントを片手に持ち直し
私を攻撃しようと空いた手の平で小爆破が起こる
だけどそれが私に当たる事は無いのだろう。

恋敵とは
見方を変えれば一番の理解者なのかもしれない。


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