第16章 【琥珀色】CT knock
~Sideハイリ~
爆豪くんが目を向けたのは教室の先の廊下だ
女の子3人組が固まってこちらへと痛い視線を投げて来る。
私にとっては今更な話だけど、最近気付いた爆豪くんにとっては気に入らない存在らしい。
爆豪くんだって同じ気持ちなんだ
気に入らないのは当然だろう。
敵の敵は味方と言ったところかな?
いや、でも私宣戦布告したしな…
私も敵だよね?
(難しいんだこの辺が……。)
ハハと空笑いを零す。
恋愛初心者にこれは無いだろう…
恋敵が恋敵に睨まれているの心配をする?
難易度が高すぎて、悩む事さえ難しい。
一つ息をつくと呼応するように
爆豪くんが隣で同じように息をついた。
「溜め息つくくらいなら
本人に何か言わせりゃ良いだろうが。」
「本人って焦凍にって事?
それじゃ被害は拡大するだけだよ?」
否定せず返してはみたが、
彼は大きな勘違いをしている。
どうも、彼女たちの事で私が悩んでいると思っているらしい。
悩んでいないと言えば嘘になる
だけど前ほどではない。
自分が私の悩みを解消しているなんて
夢にも思ってないだろう爆豪くんは
この後決まってこう言うんだ
「肝が据わってんだか据わってねぇんだか
わからねぇなオマエ。」
「アハハ…。」
こう思っているのは私だけなのだろうけど…。
もはやこれは恋バナだ。
友だちに恋愛相談している乙女の会話だ。
そんなことを考えていた所為だろうか
爆豪くんは華麗に乙女のテンプレ行動に走りだした。
「…ンどくせぇな、俺が言ってきてやらァ。」
私の為に怒ってくれて
しかも文句まで言おうとする
これって完璧友情だよね。
そんな爆豪くんを恋敵として見るのが
最近難しくなってきた私だ…。