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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第16章 【琥珀色】CT knock


~Side轟~


キレない訳がねぇ……

爆豪にもハイリにもだ……











事情は、朝一番に緑谷と飯田から聞かされた。

ハイリの勘違いは昨日聞かされてたうえ
有難いことに伏せていた関係も公になった訳だ
特に混乱する事無く把握できた俺は
とりあえずハイリの席へと行きかけ――


『と、轟くんっ!』


――意外な事に緑谷に止められた。


『きっと事実を知ったら楠梨さん
自己嫌悪に陥るんじゃないかな…。』

『……ああ。』


確かに、大いにあり得ることだ。
ハイリの勘違いを知らねぇ奴からしてみりゃ
とんでもない女にしか見えねぇ。

下手したら爆豪が一番の被害者だ。

だから大人しく黙ってるってのに
ハイリは休み時間が来るたび爆豪と遊んでやがるし
何がどうなって宣戦布告するに至ったのかは
未だ聞けず仕舞い
終いには自クラスの教室前で
手ぇ出されてやがる。

キレねぇ訳がねぇだろう。


「あの、焦凍……。」


俺の心情は察したんだろう。

教室に入るなり足を止めた俺の顔を
ハイリは恐々と覗きこんだ。


(怯えてるっつーことは
悪い事をしたって自覚はあんだな…。)


さっきも謝ってたし、あるんだろう。
なら話は早い。

要は見せつけときゃいいんだ…。

ハイリに事実を話せねぇなら
周りを牽制するしかねぇだろ。
コイツを狙ってんのは何も爆豪だけじゃねぇんだ。


「ハイリ……」

「はい。」


俯いた顔に片手を添えて顎を掬う。
首筋につけられた痛々しい歯型を指先でなぞると。
ピクリと力が入ったが
逆らう気配は特にねぇ。

余程怖かったんだろうか
それとも俺が怖いんだろうか
人前だってのに、これだけ大人しいハイリも珍しい。


(いい薬だ。)


ふっと漏れた笑みに
怒られた仔犬のような表情が見る間に消えていく。
ゆっくり開く瞳、
何かを口にせんと開いた唇を親指で一つ撫で、
噛みつくようにその唇を奪った。







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