第16章 【琥珀色】CT knock
~Side爆豪~
その“個性”を写し撮ったかのような
冷たい声音が気に入らねェ。
何考えてんのかわかんねぇこの表情が気に食わねぇ。
さも当然のようにハイリを掻っ攫う権利を持つ男が
よりによってこんな奴だってことが何よりイラつく。
自分の女が目の前で手ぇ出されかけたってのに
感情一つ乱さねぇコイツが。
いくらガンつけようが表情は変わらねぇまま
溜め息と共にタイを掴む腕は振り払われるのみだった。
「ハイリ、行くぞ。」
「う、うん…。」
タイを直しながら
俺に視線一つ寄こさねぇで轟が背を向ける。
温度差がありすぎて
まるで相手にされてねぇ、そう思えてくる。
俺がハイリに何しようが自由ってか?
余裕だなオイ。
少しは感情曝してみろやクソが。
いつも俺とハイリの間に割って入っちゃ
邪魔だけしてどっか行きやがる。
取られたくねぇならちゃんと繋いでおけや。
こんなハイリを好きかどうかもよくわからねぇ奴に出し抜かれたと思うと、怒りで全身の毛がよだつ。
込み上げる怒りが思わず腕を突き動かし
その肩を掴んだ。
「あ"? 待てコラ。
そもそも俺はてめェに話しがあんだよ。」
「わりィが俺にはねぇよ。」
やり返したつもりか
温度なくすぐに手は振り払われた。
寧ろ反応したのはハイリの方だ。
不安気に俺らの様子を目で追っては
恐ぇのか轟の腕を握りしめる。
(そんなにコイツが良いのかよ。)
もうどこにキレてんのかわからねぇ…。
一触即発
そう言っても過言じゃねぇ状況だったってのに
結局一つも感情を出さねぇまま
轟はハイリを促し教室ン中へと入って行った。