第16章 【琥珀色】CT knock
~Side爆豪~
あと数秒
そんだけの時間がありゃ唇くらいは奪えてたかもしんねェ
チッと心の中で舌を打つ。
計ったかのように
タイミング良く現われやがる。
「コイツに触んじゃねぇ。」
握っていた温もりは奪われた
空いちまった手で首に掛かる腕を払う。
パシと乾いた音を鳴らし、払ったソレは確認するまでもねぇ。
めでてぇ二色の髪に、気に入らねぇスカしたツラ。
そいつの腕に肩を抱かれたハイリは
こっからでも見て取れる位はっきりと肩の力を抜いた。
さっきと打って変わって緩んだツラ。
確認するまでもねぇ、安心したんだ。
「焦凍…」
「ん?」
轟の指が慣れた手つきで亜麻色の髪を梳く。
見せつけてぇのか?
その前にやることがあんだろーが
フツーよ。
「なんか言う事あんなら聞くぞ?」
「……………ごめんなさい。」
色気のある会話とは思えねぇ
呆れたような顔で頭を撫でる轟と
大人しく撫でられるハイリ。
恋人同士ってか、これじゃ飼い主とペットだ。
何より、詫び入れながらもハイリが嬉しそうに尻尾振って見えるのが気に食わねぇ…。
まるでこの場に二人だけ
そんな空気に我慢できず轟のタイを掴んで引き寄せる。
動揺したのはハイリの方で
とうの本人は顔色一つ変えやしねぇ。
「無視してんじゃねェぞコラ。」
「離せ。逆ならまだしも
手ぇ出される謂われはねぇ。」
逆ならまだしもだァ?
まるで俺を殴る権利はある
みてぇに聞こえるがな
言葉とツラがかみ合ってねぇんだよスカし野郎がッ