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【ヒロアカ】UAシンドローム【轟焦凍R18】

第3章 【桜色】恋愛性免疫不全


~Sideハイリ~


それは言うなれば
最低最悪のタイミングだった。


「なんで泣いてんだ?」


揺すっても叩いても
どれだけ声を掛けても
一切目を開けなかった人が何でこんな時に限って目を開けてしまうのだろう?
絞り出したような言い訳は、押し通すには少々厳しいものだった。


「いや、悲しい夢を見ちゃって…。」

「そうか、どんな夢だ?」


長い指が私の目元をなぞる。
驚きで涙は止まったのに、何度も何度も。

混乱してた割に頭は回ってたと思う。
なんでこんなに近いんだろうとか
この人は私の事をどう思ってるんだろうとか
だけど
問いの答えだけは上手な嘘が見つからなくて


「小さな男の子が…」


出て来たのは、ほぼ事実と言って良い言葉だった。


「が…?」

「男の子が泣いてるんだけど
助けてあげたいのに届かないの。
すごく遠くに居て、絶対会えない場所で
それがすごく…うん、悔しくて。」


言葉にする程情けない。
苦笑を上げると轟くんは淡い笑みを浮かべていた。


「優しいんだな。」


涙を拭っていた手はいつの間にか頭に乗っていて
なんだかあやされている気分だ。

流石に「あなたの事です」なんて言えるわけもなく
次の言葉が出て来るまでされるがままに…。


「起きるか?」

「そだね、今何時かな…?」


ようやく解放されたのは6時半
あれだけ離して欲しいと訴えていたのに、離れた温もりに
私は寂しさすら感じていた。


「ハイリ、風呂借りていいか?」


この言葉を、聞くまでは……。


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